私の使っている楽器は、実は使用人口の少なくあまり知られていない、ロンドン生まれの「Howarth」というブランド。
その中でもプロフェッショナルモデルの「XL」を吹いています。
この楽器と出会って、吹き始めてから2年以上経ちますが、どんどんよく鳴ってきていて、本当に吹きやすい大好きな楽器です。
ハワースとは一体どんな楽器なのか、そして私がハワースに出会ったきっかけを書きたいと思います!(※外観、使用感についてはXLモデルのことを中心に書いています)
Howarthとは
1948年にイギリス・ロンドンで設立された楽器メーカーで、オーボエの他にも全ての木管楽器を手掛けています。
Gordon Hunt氏(フィルハーモニア管弦楽団 元首席オーボエ奏者)が使用していることで知られており、
オーボエのラインナップはプロフェッショナルモデルとスチューデントモデルがあります。その他イングリッシュホルンやオーボエ ダモーレも。
オーボエのプロフェッショナルモデルの展開は、「XM」「XL」「LXV」の3種類。
種類としては3つですが、その中でも金メッキにしたり、ボディをグラディラ以外の木にしたり、フルオートにしたり、いろんなカスタマイズが可能です。その分価格は上がります。
今や「コンセルヴァトワール・システム」が世界標準といえますが、イギリスのブランドなので「サムプレート・システム」の楽器も生産しています。
この「システム」とはなんぞや…と思うかもしれませんが、これについて正確に説明できる自信がないので割愛します。ご自身の先生に聞いてみてください。私も勉強します。😂
私は、コンセルヴァトワールシステムでセミオートの楽器を使っています!
イギリスではハワースはメジャーなブランドのようで、日本の「ヤマハ」的な存在だそうです。イギリスでオーボエを始めるならまずハワース、という立ち位置らしく、その使いやすさから最近ではアメリカでもハワース人口が増えてきているようです。
日本の大手楽器店では、新宿のJDRさんで取り扱いがあります。
ロンドンにはハワースの路面店があります。修理をしてくれたり、楽譜やアクセサリの販売もあります。一度訪問したことがありますが、本当に綺麗なお店でした。
ハワースホームページはこちら⬇︎
https://www.howarthlondon.com/
Howarthの特徴
ハワースユーザーの私が思う、ハワースの2つの特徴。
管がとても太い(XLのみ)
最大の特徴だと思っている点です。
私がハワースを使い始める前は、「マリゴ901」を8年ほど使っていて、マリゴももちろん大好きな楽器なのですが、管が太いことにより、単純に入る息の量が違います。息の量としては、「オーボエ ダモーレ」を吹いている感覚に近いかもしれません。ですので、息がたくさん入ることによって、オーボエ特有の息苦しさが軽減されているかな、という印象を私は受けています。
しかし本当にたくさん息が必要なので、ハワースに変えた直後は、今まで一息で吹けていたフレーズが、息が持たなかったりしました(笑) 今は慣れたので問題ありません!
追記※管体が太いのはXLだけ、というご指摘をいただきました💦
音色をまろやかにする手助けをとてもしてくれる
もう一つの特徴は、軽くて吹きやすいリードでも、音がまとまること。
楽器屋さん曰く、かなり良い木(材料)を使っているそうです。木の影響なのか、管が太い影響なのか、残念ながらよくわからないのですが、とにかくマリゴではぺらぺらの音しか出なかったリードでも、ハワースではかなり音色がまとまります。
息が必要な分、軽いリードにしなくてはいけないので音色が気になるところですが、
「吹きやすいリードですごく良い音が出てくれる」、そんな楽器です。
少しわかりづらいですが、管体の写真。一番上の部分がすでに太くないですか?
Howarthのデメリット
良い楽器ですが、もちろんデメリットも。
価格が高い
楽器購入するなら誰でも気になる価格のこと。他のブランドのプロフェッショナルモデルと比べても、価格設定は高め。JDRさんのホームページから見れる商品カタログに日本で購入できる価格が載っていますので、参考までに。
重量がある
先述したように、管が太いため、当然重量もあります。最初は筋肉痛になりました。腱鞘炎や、右手親指を痛めるリスクは他のブランドの楽器よりもあると思います。
グラナディラではなく、「ココボロ」という木を選ぶと、いくらか軽量化できます。
メカニックが特徴的
これはもしかすると、イギリス人の手がとんでもなく大きいのでは…?と思ったりしたのですが、キーの間隔がマリゴより広めで、右手と左手、どちらの小指のキーがめちゃくちゃ遠いのです。
独自のメカニック、管体設計だと思います。
特に左手小指で押さえるEsキーはかなり内側にあります。ちゃんと押さえようとすると、左手薬指のGキーの穴が完全に塞げなくなってしまって音が出ない事故が発生します。
私は左手のEsキーを少し持ち上げるように曲げていて、ちゃんと押さえられるようにしていますが、それでもエチュードなどで速いパッセージの時は薬指が浮いてしまってたまに音が出ないことがあります😂。
同様に、右手小指も遠くて、少し苦労しています。ちなみに私は手が大きい方で、ピアノの鍵盤は10度届きます。
手が小さい方には、重量の問題含めて、もしかするとあまり向いていないかもしれません。
参考までに、私が使っている楽器の上管と下管の写真です⬇︎
Howarthとの出会い
どうしてハワースの楽器にしたのかというと、きっかけは高校生の時にまで遡ります。
「IDRS」という、世界中からダブルリード奏者と、関連する会社が集まって、数え切れないほどの演奏会とワークショップ、そして展示や販売が行われるイベントが、2015年は日本で開催されました。
8月の1週間、夏休みだったこともあり、私は毎日そのイベントに通っていて、そこの展示で出会ったのが、初めて見るブランド「ハワース」。
そしてなんと、そのハワースのブースには、当時からCDを聴きまくり、大好きだったGordon Hunt氏が!!彼も演奏会がなかった時間にはハワースのブースにいて、いろんな人と話したりしていました。
Gordon Hunt氏に吸い寄せられるようにブースに近づき、そして楽器を試奏してみたのが初めての出会いでした。第一印象は「めちゃくちゃ良い!」。それから毎日吹きに行っていたので、ハワースの営業マンのおじさんやハントさんとも色々とお話できました。そしてハントさんの間近で聴く音の綺麗なこと!!さらにファンになりました。
当時は高校生だったし、藝大受験まであと半年というタイミングだったし、そして楽器の買い替えも特に検討していなかったので、いつかまたハワースが吹けたら良いな、という気持ちでそのイベントは終わりました。
大学1年の時には、ドイツにマスタークラスを受けにきたついでにロンドンまで足を伸ばし、ハワースのお店も尋ねました。やっぱり良い楽器であることを再確認。
好きな楽器は、やっぱり巡り合います
大学3年の年末、お世話になっていた楽器店に、「ハワースの人が営業に来る」との情報が。
ちょうどその頃、8年使っていたマリゴに少し限界を感じ、新しい楽器を探し始めていた時でした。
日本でも「ハワースを取り扱って欲しい」と営業に来ていたハワース御一行。当時はまだ、日本でハワースの正規代理店をやっているお店がなかったのです。
IDRSの時に出会った営業のおじさんが、スーツケースにオーボエを詰めまくってやってきて、すごい数の楽器が出てきてびっくりしたことは今でも忘れません(笑)
私も、彼がくるという日に楽器店にいて、運よく楽器を吹かせてもらえました。
うーん、やっぱり良い!!!
買い替えの楽器を、マリゴやヤマハ、リグータなどいろんなブランドを検討していましたが、もうやっぱり私の気持ちはハワースに傾いていました。
日本のプロの方でハワース使っている方は、おそらくいないのでは…?と思うし、世界的に見ても、多くありません。そこがやはり引っかかってしまって、良い楽器なのはわかっているけど、これがやっぱりミスチョイスだったらどうしよう、としばらく悩んだのですが、結局買いました!!
ちなみにこの出来事の1週間前にコンクールで一位をいただいて、賞金をいただいたばかり…。
やっぱりタイミングってありますね。賞金がなければ、もう少し購入を悩んでいたかも。両親に相当な額の借金をしないといけなくなるので…😱
結論:とても良いです🌸
楽器を使い始めてから2年ちょっと経ち、そろそろ安定してきた頃ですが、すごくよく鳴るようになってきました。
ただはじめの方はあまり鳴らなっかったので、楽器店で試奏するときは、鳴りづらいと思うかもしれません。
この後数年でどう変化していくかわかりませんが、きっとしばらくは私の相棒でいてくれると思います♩
また早くロンドンのお店にも訪問したいのですが、コロナの影響でなかなか厳しいです。
あまり知られていない楽器なので未知な部分も多いかと思いますが、ご興味ある方はぜひ楽器店で試奏してみてください。ちなみにスチューデントモデルもとっても良いですよ!
終わりに
大好きな私の楽器をご紹介しました!楽器選びの選択肢にハワースも入れば嬉しいです♩
日本人としては数少ないハワースユーザーとして、もっと頑張ります😤
ではまた!☀️
コメント