あっという間にドイツは秋口に差し掛かっていますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
Konzertexamen課程に入ってから一年が過ぎて、在籍期間も折り返しになりました。
この課程ではほとんど授業はなく、学生として籍を置きつつ仕事をたくさんしたりコンクールをたくさん受けたり、楽器と音楽に没頭できる時間を多く持つことができます。
私はというと、今年に入ってからいくつかのコンクールにチャレンジしました。
オーボエという楽器はやはりピアノやヴァイオリンなどに比べてマイナーなので、コンクールもあまり多くありません。
オーボエが参加できる大会が少ない上に何年かに一度の開催であったりするので、コンクールへのモチヴェーションがある人たちは2-3年先にどんなコンクールがあるのか把握して計画的に準備している人が多いです。
そんな中、コロナの影響で延期されていた大会の開催も含め、今年・来年は国際コンクールラッシュ。
コンクールは若手が腕を競い合う場所でもあるので、年齢制限もあることから私自身もここ数年が勝負。というわけで、今年二つの国際コンクールにチャレンジした結果を書きたいと思います。
世界の壁は高かった
他の楽器にも当てはまることですが、ほとんどの国際コンクールにはビデオでの予備審査があって、その予備審査を通過した人がコンクールに出場できます。スポーツの大会の予選に似ていますね。予選を勝ち抜けたらW杯や世界大会に出られるのと同じような仕組みです。
なので、コンクールに出たくても出られるわけではない、というのが前提です。
結論から言うと、二つとも「コンクールには出られたけど一次予選で落ちる」でした。
世界中から予備審査を通過してやってくる人たちはやっぱり上手い。
それを痛感した半年でした。
The Muri Competition 2023
4月に挑戦したスイス・Muriでのコンクール。初めての国際コンクールでした。
少し変わったコンクールで、部門はオーボエとファゴットのみ。同じ期間で両部門が同時進行されて、セミファイナルでは、残った参加者同士でデュオを演奏する課題もあります。
Muriという街はとても小さくて、街をあげてコンクールを開催しているのがとてもよく伝わってきます。
オーボエとファゴットの参加者はそれぞれ50人。全員にホストファミリーがつき、会場までの送り迎えや宿泊・食事の面倒などはホストファミリーが見てくれることになっていました。
私は幸運にも日本のことが大好きな温かいファミリーに恵まれ、なんのストレスもなく大会に集中できました。
コンクールの準備は万全だったはずが、Muriが少し標高のある場所だったことに加え、連日の雨でみんな偏頭痛を起こすほどの悪天候。リードの状態は最悪でした。
リードのせいで上手くいかなかった、と言いたくないし、そんなことは留学してからほとんど起きていなかったのですが、それが起こる時は起こります。
一次予選では発音ミスはするわ、音程は悪いわで誰が聞いても残念な演奏でした。一次突破ならず。
コンクール期間は10日間。3日目でスイスにいる意味がなくなってしまったので、早めに帰ろうかとも検討したのですが、ホストファミリーがいていいよと言ってくれたのでお言葉に甘えて滞在させてもらうことに。チューリッヒやルツェルンにも観光に連れていってくれて、本当にありがたかったです。
結局ファイナルラウンドまで聴き、同世代の人たちでもこんなに上手いのかと良い意味でショックと刺激を受けました。その人たちとのつながりを持てたことも大きな財産になりました。
国際オーボエコンクール東京
Muriから帰ってきて、すぐ準備を始めたのがソニー音楽財団が主催する国際オーボエコンクール東京。
以前は軽井沢で行われていましたが、前回大会から東京での開催になっています。
予備審査のビデオは3月のうちに提出していて、コンクールに参加できるという結果が分かったのが5月でした。またコンクールに参加できる、リベンジできる!と思ったのをよく覚えています。
こちらは一次予選もビデオ審査。予備審査で選ばれた50人が同じ課題曲を演奏したビデオを提出します。そしてコンクールのホームページ上で公開されました。
通過すれば、2次予選・本選が行われる東京に行くことができます。
でもこちらも、15人の二次予選進出者の中には選ばれず、一次敗退。
通過した人たちを見るとMuriで活躍していた人ばかりだったので、やはり今の若手の最前線はこの人たちなんだと再確認。
今回は現地に行くことができなかったので、コンクールに参加する意義でもある他の人たちとの出会いもなく、ちょっと残念です。
なぜ通過できなかったか
これは自分がこれから時間をかけて検証していかなければいけないことです。
2回とも二次に進めなかったという決定的な事実があるので、リードのことや奏法、音色感など、まずは楽器の技術的に他の人たちとどう違うのか、じっくり観察して考えなければ次回以降のコンクールでも同じことの繰り返しになってしまいます。
コンクールを受ける意味
もちろんタイトルをとりたいとか、世間に自分の名前を知ってほしいとか、賞金のこととか、いろいろとありますが、参加するだけで大いに意義があると私は思っています。
それは前述したように他の参加者との出会いがある他、審査員から直接フィードバックがもらえたりすること、そして最大のポイントはたくさんの曲と向き合ったその過程が、何より自分を成長させてくれる気がします。コンクールのあとは大体結構上手くなってます(笑)
なので結果が出なければもちろん悔しいですが、コンクールに向けて準備をすることが日々のモチベーションになり自分がステップアップするための大事な時間になっているなと感じています。
終わりに
音楽を点数で評価するなんて難しいですが、楽器に関わらずいろいろなコンクールを見ていると、結局審査員を含めた聴衆の心を掴んだ人がいい成績をとっているな〜と思います。
ただ素敵な音楽をするためには、確固たる技術が必要で、やりたいことを表現するための技術を日々磨いていかなければいけません。そのための毎日の鍛錬なのです。
なんだか偉そうに書いていますが、一番は自分に言い聞かせるために書いてます笑
参加するだけで意味があると言いつつ、やはり結果は出したいものです。
来年も国際コンクールは二つ。
がんばれ自分。Einfach weiter machenです!
ではまた!🎶
(ちなみにサムネの写真は、スイスの路面バスに乗ってた時に現れた牛さんたち🐄。動物がいたるところにいる世界でした。)
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